ヴィクトル・ユーゴー『レ・ミゼラブル(1)』

ヴィクトル・ユーゴー『レ・ミゼラブル(1)』を読みました。
人間ドックは待ち時間が長いです。その待ち時間を利用したら1冊読めてしまいました。
 
岩波文庫版は豊島与志雄さんの訳となっています。
原文を読んだことのない私のような素人が読んでも、読みやすくかつ見事な文体です。しかし、豊島さんの序文「序」で、物語の内容が簡潔に要約されてしまっています。この「序」を読んでしまうと読む楽しみが半減してしまうので、後回しにすることを強くオススメします。
 
物語は1815~32年のフランスが舞台。
その歴史をすっかりと忘れていたので、読み終わった後に、山川出版社の高校教科書『詳説世界史』で歴史をチェックしなければなりませんでした。無論、細かいところまで抑えなくても物語を追うことができます。非常に面白い。第二巻を読むのが楽しみです。
 
印象に残ったのは、民約議会議員と司教とのやりとり(P.78-)。
ナポレオン後、フランスではルイ18世が復位します。教科書的には、次いでシャルル10世が現れて、その後に7月革命が起こり、ルイ・フィリップが王となる・・・と続いていきますが、ルイ18世が復位したとき、民約議会議員らは失脚し、市民達からも嫌悪され、迫害されていたのです。その様子が描かれます。そして、民約議員は司教に言います。
 
「不幸にも事業は不完全であった。私もそれは認める。われわれは事実のうちにおいて旧制を打破したが、思想のうちにおいてそれをまったく根絶することはできなかったのです。弊風を破る、それだけでは足りない、風潮を変更しなければならない。風車はもはや無くなったが、風はなお残っているのです」(P.86)


 

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