辻仁成『海峡の光』

辻仁成『海峡の光』を読みました。
 

 
辻仁成もまた函館市文学館で紹介されていた小説家の一人であります。
 
看守の斎藤と受刑者の花井。二人の小学校時代の記憶と現在とがかわるがわる語られていき、時代は青函連絡船の廃航を迎えます。廃航により人々の人生も大きな影響を受けていくわけですが、時代の変化のなかでも、二人の心の闇は闇のまま、それを抱え込みながら今後も生きていくのでしょう。
 
花井が少年刑務所にあえてとどまろうとするのは、「世の中の外にいられることとの自由」(p.78)を享受しようとしていたからでしょうか。理由は明確に語られることなく、超俗したかのような彼の姿が描かれて終わるのみです。
 
うーん、しかし、辻仁成が芥川賞で、佐藤泰志が芥川賞で無いんだから、文学の評価は難しいものですねえ。
 
今年42冊目。
※図書館で借りた本。


 

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