大江健三郎『性的人間』

大江健三郎『性的人間』を読みました。
 

 
ほとばしる性(“男性の性”中心ですけど)。
 
川西政明は大江文学を三期に分類しています(『「死霊」から「キッチン」へ』 講談社現代新書)。本著は第一期にあたるもの。大江20代の仕事です。
 
TVのイメージは強くて、大江健三郎というと大江光の脇でほほえむ姿が浮かんでしまいます。しかし、初期作品群はそのイメージとはかけ離れており、なおかつ非常に魅力的です。本著には有名な「セブンティーン」も収録されています。確実なものを求める17歳の青年が右翼思想にとりつかれていく姿を描いています(第二部「政治少年死す」は文庫本未収録ですが、探せば読めます)。右傾化する世の中で、なんでそうなるのかを考えたい向きには是非オススメの一編であります。
 
今年2冊目。

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藤田省三『全体主義の時代経験』

藤田省三『全体主義の時代経験』を読みました。
 

 
時代が時代なので、新年一発目は藤田省三から。
久しぶりの再読であります。
 
著者自ら述べているごとく、病床で書かれたエッセイ集です。そのためか、論述にわかりにくさがつきまといます。特に「全体主義」の定義が明確ではないと思います。例えば、有名な“「安楽」への全体主義”という言葉があります。「安楽」を求めるために不快の源を根こそぎ取り払ってしまうことを指して言っています。しかし、全体主義のポイントは、国家が経済・社会・文化の諸領域に介入して自由を奪うことにあると思います。藤田のように全体主義概念を広げすぎてしまうのには疑問が残ります。
 
とはいえ、本の各所に卓見がありますので、アフォリズム(箴言)集として読むにはいいのかもしれません。
 
今年1冊目。

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帰宅しました

帰宅しました。
 
実家から本を15冊も抱え込んだまま、新宿をうろうろしてしまいました。かなり疲れております。
戦果はネクタイ1本。
シャツなども見ていたのですが、あまりいい物が出ていませんでした。いい物はセール対象外になっているんですよね。ま、そんなもんだ。
 
少しのどが痛いので、早く寝ることにします。

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