佐藤泰志『海炭市叙景』を読みました。
佐藤泰志は函館市文学館で出会った作家です。気になりまして手に取った次第。
作者の自死により途中で終わった作品でありますが、短文織り成す叙情溢れる小説です。様々な立場の様々な生き方が、透き通った文体で表現されています。逆に言うと、ウェットにそれぞれに踏み込むことはありません。表面的に見えるかもしれませんが、だからこそ表現できた世界なんだなあと思います。
近年再評価されていて、映画化もされていて、観てみました。
映像化はやっぱり難しいのかもしれませんね。あまり言うとネタバレなので隠しますが、『海炭市叙景』のいちばんはじめの話が、ずっと影を投げかけているところが小説にはあるんです。映像にはうまく表現できていませんでした。最後でやろうとしていたのはわかるんだが・・・。残念。
今年39冊目。