A.アインシュタイン+S.フロイト『ひとはなぜ戦争をするのか』

A.アインシュタイン+S.フロイト『ひとはなぜ戦争をするのか』を読みました。
 

 
アインシュタインとフロイトとの手紙のやり取りを書籍化したもの。
 
アインシュタインとフロイト双方が言っていますが、戦争を起こさずまとめるには暴力が必要です。しかし、もともと国際社会には統一的な暴力はありません。冷戦期は米ソそれぞれ、冷戦後は”世界の警察”としての米国がそういう役割を担っていたところがあるのでしょうが、トランプ大統領下で孤立主義を高めていって、”America first”の掛け声のもと、そういう役割から降りていくとすると、暴力の力は弱まっていくでしょう。また、移民とそうじゃない人との分断なども進んでいるとされます。「暴力」と「同一化ないし帰属意識」が社会を一つにまとめているとフロイトは言っていますが、いずも失われつつあるのが今現在かと。悲観的にみると、戦争の可能性は広がっていくのでしょう。
 
この状況下で、フロイトが最後に言う戦争への嫌悪感をどのように醸成していくのか。フロイトは「文化の発展」という言い方をしています。どういう文化であるべきなのかは明示されません。
 
思うに、まず第一に、我々は”他者と共存せざるをえないということを意識する”必要があると思います。例えば、戦火の地域から人は逃れるべきでしょう。その場合、逃れた人はどこかに行かなければならないわけで、そうするといま住んでいる人たちとの共存が必要になります。もっとミクロに考えても、一人では生きられず、色々な人と共存せざるを得ないのが人間でしょう。他者を抹殺していけばいいと考える人もいるかもしれませんが、突き詰めれば自分以外の全員に死んでもらうしかありません。果たしてそれで満足できるのでしょうか。
その上で、さらに”他者への想像力を持つ”ことが必要だと思います。他者というのは自分とはまったくもって違う存在なのですが、ひょっとすると自分がそうだったかもしれない存在であり、自分が今後そうなりうる存在です。むろん他者は他者なので、すべてを理解することは絶対できないのですが、想像力を持てば、共存できるくらいには理解できるはずです。
自分と他者とが、それぞれに対して想像力を持つ。他者と共存することを必然と考え、他者への想像力を持ちながら、より良い共存に向けて知恵を絞っていくことにしか平和はないのではないかと考えます。
 
今年3冊目。

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堤未果『(株)貧困大国アメリカ』

堤未果『(株)貧困大国アメリカ』を読みました。
 

 
シリーズ3冊目。これまたショッキングな米国の現状がレポートされています。
多国籍企業がここまで政治経済を牛耳ってきているとはショックでした。
どのように抵抗するのか。
読者もフリーではいられないでしょう。1%の利益を推進するような多国籍企業の社員でありながらも、経営者でなく社員である以上、1%の側ではなく99%の側であることがありうるでしょう。そういう立場からいかに世界を変えていくことができるのか。生活を守りながらも、より良い世界を目指す行動はできるはず。・・・違うな、悪化を止める手立てを取れるはずだと思います。署名やパブリックコメントなど、活動していくことにしよう。
 
今年5冊目。

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坂本義和『人間と国家―ある政治学徒の回想(上)(下)』

 坂本義和『人間と国家―ある政治学徒の回想(上)(下)』を読みました。
 
 
 
 
 
 著名な国際政治学者である坂本義和さんの回想録です。
 
 学生の頃に『相対化の時代』をはじめとする著書を読み、ゼミで議論し、学んだものです。
 
 回想録の中には、師匠である高畠道敏さん、ゼミの先生だった李鍾元さん、熱い授業を行ってくださった藤原帰一さんら、私にとっては懐かしい名前がたくさん出てきます。国際的にも色々な研究者たちとの交流が描かれていて、幅広い活動に改めて驚かされるとともに、色々な場面で鋭い議論を繰り広げていた坂本義和さんの業績を振り返ることができます。「理想主義者」というレッテルがいかに誤ったものであったかがわかるでしょう(藤原帰一さんもどこかで同じようなことを言っていたと思います)。
 
 坂本さんは東大紛争で大学の側に居た人でした。その立場から、当時のことを振り返っています。内ゲバを繰り返していた学生運動に対して批判を行っています。当時の全共闘らに弁護の余地は無いのではないでしょうか。
 
 オススメ。「私の本棚(厳選)」入り確定。
 
 今年36,37冊目。

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池上彰『そうだったのか!池上彰の学べるニュース3 (国際問題・外交編) 』

 池上彰『そうだったのか!池上彰の学べるニュース3 (国際問題・外交編) 』を読みました。
 
 
 
 この分かりやすい説明はさすが。読むべし。
 
 今年4冊目。

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堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ II』

 堤未果『ルポ 貧困大国アメリカ II』を読みました。
 『ルポ 貧困大国アメリカ』の続編です。
 
 
 
 オバマ政権下の米国をルポ。学位を求めてローン地獄に陥って貧困となる話など、衝撃的であります。オススメ。
 
 今年100冊目。

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水本達也『インドネシア―多民族国家という宿命』

 水本達也『インドネシア―多民族国家という宿命』を読みました。
 
 
 
 やはりその国を訪れる前には歴史(特に現代史)を知っておかないと。
 本でも述べられていますが、スハルト時代を清算し、不正腐敗をなくすことが重要です。私が滞在していた時にも「じゃかるたー新聞」で、センチュリー銀行救済におけるユドヨノ政権の公金流用疑惑が取り上げられていました。不正や横領をやめないとインドネシアの先も暗いでしょう。
 
 今年103冊目。

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ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー『冷戦から内戦へ』

 ハンス・マグヌス・エンツェンスベルガー『冷戦から内戦へ』を読みました。
 大学生時代ぶりの再読です。
 

 
 冷戦の終焉により世界各地で発生した内戦。解決の道はあるのかを考察した本です。1994年に出版されていますが、未だ輝きを失いません。本書における「内戦」は、先進国の大都市で頻発するイデオロギー的な理由付けのない暴力的な行動(連続殺人等)を含みます。それらは「分子的な内戦」と表現されます。
 
 医療の分野でトリアージ(本書では「トリアージュ」)という言葉があります。戦争においては、野戦病院の収容能力が限られていたために、病院まで搬送して治療する人を選別しました。選別すること、「段階を区別し、優先順位を設定し、責任を負うべきものをクラス分けする」(p.111-112)こと。それをトリアージと言います。エンツェンスベルガーは、トリアージの考え方を持って内戦に向き合うべきとします。「ボスニアで敵対し合っている各派にちょっかいを出すよりも先に、ぼくらは自国のなかの内戦を、根絶やしにする必要がある。」「いまはいたるところで、自分の門前が燃えているのだ。」(p.113)
 今の日本で考えると何が燃えているのでしょうか。何が「分子的な内戦」を引き起こしうるのか。格差、貧困、社会的排除(Social Exclusion)など色々と考えられるでしょう。日本に住む市民は、まず日本で起きているこれらのことについて、原因を考え、対策を練らなければなりません。それこそが優先順位のはじめに来るのだろうと思います。私も今、新聞の切抜きや書籍を収集し勉強しているところです。
 
 今年10冊目。

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オバマ氏の米国大統領当選

以前にこんなこと書いてましたが、意外にも早く実現しました。
 
共和党ブッシュ政権にべったりだった自民党政権はどう折り合いをつけるのでしょうか。
たぶんそのまま民主党次期オバマ政権を支持しちゃうんでしょうけど。
 
オバマ氏本人が慎重な姿勢を見せているので、大統領に就任する1月以降にならないと具体的な政策は見えてこないかもしれません。しばらくはウォッチですなー。
 
日本の首相が麻生さんから変わることが前提で、できれば軍事再編に伴う沖縄基地再編の件はゼロベースで、日米ともに再考してほしいところです。

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自己責任なんてウソ

米国の下院で「緊急経済安定化法案」(金融救済法案)が成立しました。
最大7千億ドル(約75兆円)の公的資金を投じ、金融機関から住宅ローンや関連の金融商品などを政府が買い取る」(asahi.com)というもの。
 
いや、ほんとに、自己責任論なんてウソっぱちですよね。
結局政府の助けがないとダメなんじゃん。

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T・K生/「世界」編集部編『韓国からの通信-1972.11~1974.6-』

T・K生/「世界」編集部編『韓国からの通信-1972.11~1974.6-』を読みました。
 

 
維新体制下の韓国における市民の抵抗をレポートしたもの。
今では、取材を元に池明観教授が書いたということが明らかになっています(こちらを参照)。
 
朴正熙による戒厳令や金大中事件等が出てきますので、韓国現代史を学ぶ入り口としても最適。先日亡くなったソルジェニーツィンの影響が韓国でも非常に大きかったということもこの本で改めて確認できました。
 
今でこそ好きにものを言えますが、それは過去の数々の運動あってのことです。自由、その価値を改めて考えてみるべきでしょう。
続編も随時手に入れて読んでいくことにしよう。
 
今年53冊目。

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