2009/1に観たドキュメンタリー。36編。
ラフに雑感を記しています。
敬称略。
私の読んでいる新聞・雑誌とクロスさせて色々と書いています。
なので、今月は長文が多いです。
また、すごい勢いで状況が変化していることがわかります。
NHKスペシャル「激流中国 上海から先生がやってきた ~貧困の村で~」(2008/3/2放送)(最近再放送されました)を観て書いたことなんて、1月中旬に書いたことが1月下旬には通用しませんでした。初めての経験でした。
今月のベストは、
NHK ドキュメント にっぽんの現場「変えろ!わが町 ~鳥取・智頭町 住民たちの町政改革~」(2009/1/31放送)
です。
市民の政治参加への取り組み。今後に期待を込めて。
■NHK ETV特集
ETVの従軍慰安婦特集ですが、放送倫理・番組向上機構(BPO)で審議入りが決まりましたね。今後どうなるか注目です。(東京新聞 2009/1/10)
○NHK ETV特集「水俣と向きあう~記録映画作家 土本典昭の43年~」(2008/12/21放送)
⇒2008年に亡くなったドキュメンタリー映画作家・ 土本典昭を通じ、水俣を描き出す。水俣は栗原彬氏の本で学んでいたつもりでしたが、土本典昭氏のことは知りませんでした。
○NHK ETV特集「吉本隆明 語る ~沈黙から芸術まで~」(2009/1/4放送)
⇒吉本隆明の公演。吉本隆明の言うことはよくわからなかった。この人は他人を罵倒する書き方をするので、昔から嫌いでした。本もほとんど読んでないし、今後も読みませんが、唯一「重層的な非決定へ」は参考にしました。どこかに重点置くのではなく、非決定的に現代の文化に接するべきである。若いころに読みまして、参考になった記憶があります。
■NHKスペシャル
○NHKスペシャル「激流中国 上海から先生がやってきた ~貧困の村で~」(2008/3/2放送)
⇒約6000万人の貧困人口を抱える中国農村部に、都会から先生として大学生がやってきました(そのようなボランティア活動が行われています)。上海復旦大学から来た梁佩思(りょうはいし)さんを中心として、貧しい農村の現実、勉強したい大学に行きたいと夢を持つ子ども達、その狭間で苦悩する先生、それぞれの姿を描きます。梁さんはなかなかアツい先生でした。
農村の学校の様子が映されますが、みんなすごい勉強しています。休み時間にも勉強しているんです!すごいなあ。見習わないと。
あと、農村部の貧困なんですが、中国は都市と農村住民を戸籍制度で区別し、農民を都市における低賃金の労働力にしてきました(東京新聞 2009/1/5 清水美和のアジア観望より)。本編で、ある生徒の弟が、農村から都市に出て働こうとする姿が描かれていますが、まさにその例ですね。結果としては、低コストを実現し、輸出増につながってきたのでしょう。しかし、輸出依存にも限界がやがて訪れます。輸出額は減少し「輸出主導の経済成長モデルが限界に来たことは、もはや火を見るよりも明らか」とする論説もあります(Newsweek 2009/1/14 p.46)。GDPも12%から8%へ落ち込みそうですし、格差是正と内需の拡大に取り組むべきときでしょう。
上記のアンダーラインの部分は1月半ばに書きました。しかし、2009/1/23付けの東京新聞朝刊によると、8%成長すら厳しいらしい。内需転換が急務とされています。
中国は2010年末までの間に4兆元(約57兆円)を投じる景気刺激策を実施することを決めています(Newsweek 2008.11.26より)。ちなみに日本における2008年度の一般会計税収は約54兆円です。日本の税収を超えるほどのお金を出せるのであれば、地域や教育へ予算をもっと割り振ってもいいでしょう。長期的には内需拡大にも繋がって景気対策にもなるでしょうし。中国は2006年から「新農村政策」を実施し、農村の生活改善に取り組んではいますが、地域への財の配分をもっと検討するべきです。水引くことすらできず、日本が援助した地域すらあるのですから(東京新聞 2008/11/21より)。
○NHKスペシャル「桂離宮 知られざる月の館」(2009/1/4放送)
⇒親子二人の親王が50年かけて築いた別荘である桂離宮。普段は公開されていないのですが、カメラが迫ります。反徳川幕府の象徴である後水尾上皇を呼ぶために趣向を凝らしました。実際には2回しか来なかったそうなのですが。見事な建築美でありました。
○NHKスペシャル「世界“カイテンズシ”戦争 寿司 vs Sushi」(2009/1/5放送)
⇒回転寿司が、世界的に流行しているようです。英国の「Yo!sushi」なんて、かなり面白いメニューを出しています。日本に逆上陸してきたらウケるんじゃないでしょうか。流行している影で、魚の確保が困難になっているようです。今まで使われなかった魚を使うことが模索されています。「エンガワ」なんて、ヒラメだけじゃないんですね。知らなかったな。
○NHKスペシャル「女と男~最新科学が読み解く性~ 第1回 惹(ひ)かれあう二人 すれ違う二人」(2009/1/11放送)
○NHKスペシャル「女と男~最新科学が読み解く性~ 第2回 何が違う? なぜ違う?」(2009/1/12放送)
○NHKスペシャル「女と男~最新科学が読み解く性~ 第3回 男が消える?人類も消える?」(2009/1/18放送)
⇒女と男の違い。それを最新科学から読み解きます。…確かに最新科学から読み解くんですが、結局行き着くのは原始時代、狩猟採集時代なのです。狩猟採集時代の影響はあるんでしょうけれども、近代~現代の社会状況とかも踏まえて議論してほしかったところ。いわゆる理系の科学に偏るだけではなく、社会的な動向やいわゆる文系的な思想状況等とを交差させて論じる必要があると思いました。
○NHKスペシャル「沸騰都市 第5回 ヨハネスブルク “黒いダイヤ”たちの闘い」(2009/1/25放送)
⇒「沸騰都市」シリーズ。番組のトーンが去年とすっかり変わり、金融危機の影響が描かれます。南アフリカはヨハネスブルク。裕福な黒人層を“黒いダイヤ”と呼びます。とはいえ、人口の8%ほど。一方でスラムも存在しており、黒人間の格差が広がっています。
○NHKスペシャル「激流中国 チベット 聖地に富を求めて」(2007/10/7放送)
⇒チベットに鉄道が通り、観光開発が進められています。その様子を描く。チベットの様子を見たのは初めてでした。ポタラ宮殿にダライ・ラマがいたんですね。主を戻さずに、富だけ追うというのは中国のズルさ。非難されてしかるべき。
■フジTV ザ・ノンフィクション
○フジTV ザ・ノンフィクション「特選集初夢編 アメ横初夢物語2009」(2009/1/11放送)
⇒2003年末~2004年始のアメ横と現在の姿を描く。富士屋というお店を若くして継いだ店主 杉山美加子さんの思いの詰まった言葉は、昨今のアホ経営者にぜひ伝えておきたい。従業員に給与明細を渡した後に、たどたどしくも言います。
「月に必ずこの分は絶対確保してあげる、っていう、やっぱりそういう家族、その働きに来ている人の裏、裏って言うか、支えている人に家族がいっぱいとか、家族が居て、その人を養いに、うちに来てるわけじゃないですか。その人もそうだし、その支えている家族にも不安にさせないように」
チョコレートの志村商店も良かったね。一人では食べ切れそうに無いけども、今度行ってみようかな。
○フジTV ザ・ノンフィクション「ザ・ノンフィクション・特選集初夢編表参道ラーメン人生2009」(2009/1/18放送)
⇒原宿通りで商いを始めて50年になる昭和軒を描く。場所は大体わかりました。行こう。行くぞ。
■NHK ドキュメント にっぽんの現場
○NHK ドキュメント にっぽんの現場「疾走 19歳~騎手・三浦皇成の挑戦~」(2009/1/10放送)
⇒武豊の新人最多勝記録を超えるような若手騎手が誕生していたんですね。競馬は見ないもので、しりませんでした。三浦皇成騎手の活躍、その挑戦を描く。
○NHK ドキュメント にっぽんの現場「“派遣切り”と闘う~東京・派遣ユニオンの1か月~」(2009/1/17放送)
⇒「年越し派遣村」と「派遣ユニオン」の活動を追う。過労による衰弱で急に倒れた男性もいました。派遣村のおかげで自殺を止めた人もいました。
○NHK ドキュメント にっぽんの現場「いっしょに、ねっ 札幌・三角山のラジオ局」(2009/1/24放送)
⇒パーソナリティが全員ボランティアという札幌のラジオ局を描く。命を削りながらラジオに話かける人もいました。初のラジオに取り組む武部未来さんのドタバタには笑ってしまった。
○NHK ドキュメント にっぽんの現場「変えろ!わが町 ~鳥取・智頭町 住民たちの町政改革~」(2009/1/31放送)
⇒「勤勉手当」っていうのが公務員に支給されていました。あり得ない。こういった狂った仕組みを変えるのは市民の声ですね。市民の声を取り入れようとした鳥取県智頭町の町長は偉い。仕事あるのに改革のための意見をまとめていった市民達も素晴らしい。色々なところで鳥取県智頭町のような市民参加の仕組みが広がっていくべきです。
■NHK きらっといきる
○NHK きらっといきる「わたし流で一歩ずつ~統合失調症・市川愛弓さん~」(2009/1/16放送)
⇒統合失調症から、一歩一歩歩き出す市川愛弓さんを描く。
○NHK きらっといきる「ここが私たちの職場です~障害者が働くコンビニエンスストア~」(2009/1/23放送)
⇒明石市役所内のセブンイレブンで働く障害者を描く。
■NNNドキュメント
○NNNドキュメント「いのちに寄り添う お坊さんがいる病院」(2008/12/14放送)
⇒浄土真宗本願寺派・西本願寺が始めた、ビハーラ(安息の場所)専門僧と呼ばれる僧侶のクリニックへの常駐を描く。仏教の医療への進出です。正直、仏教というと、死んだ後にお世話になるイメージがあります。新たな取り組みであります。
○NNNドキュメント「救済は遠く 薬害肝炎 終わらない闘い」(2008/12/21放送)
⇒薬害肝炎被害者は一律救済が認められたと思ってました。しかし、その救済から取りこぼされる人々がいました。これは知らなかった。薬を投与した記録がないと救済の対象とならないらしい。うーん、疑問です。救済される要件を緩和すべきです。自己申告を元に救済すればいいじゃないですか。定額給付金止めれば、簡単に財源は出来るはずです。
あと気になったのは、田辺三菱製薬の誠意の無さ。被害者からの質問を受け付けないなんて、ひどい。なんでこんな会社が存在するんだろう。医者から薬をもらいますが、どこの会社からの薬なのか、わかるようにしてほしいと思います。田辺三菱製薬の薬は拒否したい。他の会社の薬を服用したいと強く要望します。
○NNNドキュメント「命の音 60億個の細胞が奏でる交響楽」(2009/1/5放送)
⇒いやー、マニアック。エロティック(おいおい)。人間の色々な音を撮ります。結構面白かった。
○NNNドキュメント「息子のいない食卓 飲酒ひき逃げが奪ったもの」(2009/1/11放送)
⇒人を殺すというのは許されません。被害者のこの悲しみを、まずは共有すべき。
○NNNドキュメント「夢のピッチへ 車いすのサッカー監督 羽中田 昌」(2009/1/19放送)
⇒高校サッカーのスターでありながらも、事故による下半身不随になった羽中田昌氏。サッカーへの夢をあきらめずに監督としてサッカーの舞台に戻ってきた彼の姿を描く。
■テレビ朝日 生きる×2
○テレビ朝日 生きる×2「楕円のボールに夢のせて」(2009/1/11放送)
⇒ラグビーの元日本代表監督である山本巌さんが、四国は松山大学ラグビー部の監督に就任します。全国大会に向けた2年間の奮闘を描く。
■テレビ朝日 テレメンタリー
○テレビ朝日 テレメンタリー「ソックモンキーは負けない~ある授産施設の挑戦~」 (2009/1/5放送)
⇒障害者自立支援法の問題点がよくわかるドキュメンタリー。施設運営の補助金が登録人数×報酬の月額から、利用日数×報酬の日割となりました。障害ある人は体調不良で休むことも多いため、施設の収入は減ってしまいました。また「応益負担」ということで、ソックモンキー(靴下で作るサルの人形)を作る施設で、低賃金で働く障害者から、施設の利用料を取るようになってしまいました。本人が1割の負担をしなければなりません。働いているのに、サービスを受けていることになって、サービス料を払わなければならないという、おかしなことになっています。“自立支援”というのは名ばかりです。国も暫定措置取っているんですが、そもそもの法律を改めるべきでしょう。見直しが行われるとのことなので、継続してチェックしていきたいと思います。そもそも、お金無いところからお金とってどーするんだと。お金はお金持ちから取りましょう。所得税増税、法人税増税を考えましょう。社会的に配分した方が需要増えて景気UPにつながるのではないでしょうか。
東京新聞 2009年1月13日朝刊の「こちら特報部」でも「苦境に立つ小規模製作所」として、障害者自立支援法の問題点が指摘されていました。小規模作業所が補助金廃止で運営難に陥っている。「支援センター」に移行すればよいのですが、要件が厳しく(1日当たり10任意上の実利用人数がいる等)、小規模事業所は移行できないらしい。少人数の事業所は切り捨てるのでしょうか。法律の改定を望みます。
○テレビ朝日 テレメンタリー「黄金色の大地~中国の米作りを変えた“水稲の神”」 (2009/1/12放送)
⇒中国で米の技術指導をした原正市さんの足跡を追います。もう亡くなりました。私は原さんの存在は知りませんでした。番組内で都立大の教授が言ってましたが、中国の人口は世界の1/4。まさに世界の食を救ったと言える人物です。原正市さんのような技術ある人って、日本にもたくさんいると思うんですよね。及ばずながら私にもほんの少しは技術がある。原正市さんほどの成果は出せずとも、色々なチャネル使って、私も情報発信を積極的に行っていこうと思います。
○テレビ朝日 テレメンタリー「43歳 闘う理由~オヤジボクサーの挑戦~」 (2009/1/19放送)
⇒43歳になっても海外でボクシングを続ける西澤ヨシノリさんを描く。
■NHK ドキュメント挑戦
○NHK ドキュメント挑戦「小さな街のシンガーソングライター ~福井県 坂井市三国~」(2009/1/6放送)
⇒シンガーソングライター横田はるなさんを描く。
■TBS ドキュメント・ナウ
○TBS ドキュメント・ナウ「「高齢者下宿」ただいま急増」 (2008/12/2放送)
⇒急増している高齢者向け下宿を描く。私のような独り者は将来的にはこのようなところに入るのでしょう。高齢化も進んでいくので、どんどん増えていくんでしょうかね。
○TBS ドキュメント・ナウ「暮れから正月 山谷の人々」 (2009/1/14放送)
⇒2008年暮れから正月にかけての山谷(さんや)の人々の姿を描く。午前2時から仕事探している人がいました。すごい努力をされています。でも仕事が無いのです。これでも自己責任云々というのでしょうか。日比谷公園に出現した「年越し派遣村」も描かれていました。
■NHK みんな生きている
○NHK みんな生きている「表したい 伝えたい 私のきもち」(2009/1/9放送)
⇒長野県上田市で養護学校に通う子ども達を描く。
■テレビ朝日 報道発 ドキュメンタリ宣言
○テレビ朝日 報道発 ドキュメンタリ宣言「”山谷”を駆ける女性看護師~密着!“限界集落”の天使たち~ 」(2009/1/19放送)
⇒本編に出てくる訪問介護ステーションコスモスの看護士を尊敬します。
○テレビ朝日 報道発 ドキュメンタリ宣言「悩める国ニッポン~大都会の精神科救急24時~ 」(2009/1/26放送)
⇒都市部に作られた精神科救急の活動を描く。
■TBS 水曜ノンフィクション
○「車100年の夢はどこへ~自動車危機の真相~」(2009/1/14放送)
⇒番組で「車は夢と未来だった」と表示されます。確かにそうだったんでしょうね。私などは車を買おうとはあまり思いません。車が夢だとか未来だとか感じたこともありません。車持つなんて単なるガソリンの無駄遣いです。なんで一人か二人移動するために1トンもの車を動かさないといけないのか。意味がわかりません。電車+自転車でいいですし、そのほうが気持ちよいです。若い人のインタビューがありましたが、携帯電話にお金をかけているらしい。この感覚は私にも納得です。エコの面からも、自動車危機、というのはむしろいいことなのではないか、と思います。
あと技術開発に取り組まず、政治的圧力で、社会の変動に対応してしまったビッグスリーの姿が描かれます。GMが実用化していたEV1という電気自動車。GMはスクラップにしてしまいました。技術も手放してしまいました。経営の失敗ですな。
(なお、2009/1/17付けの東京新聞朝刊によると、GMは電気自動車に注力するそうです。オバマ政権に意向に沿った戦略です(インタビューでルッツ副会長が認めています)。GMとしての戦略が見えないです)
そだそだ。少し昔話させていただくと、私が大学生のころに、韓国の大学生と接する機会がありました。男子学生は言っていました。モテるためにはいい車を持っていることが重要なんだと。韓国の車事情は今どうなっているのでしょうか。
○「北京オリンピックから5ヶ月 揺れる巨龍中国の今」(2009/1/21放送)
⇒中国の失業者は約1億2千万人だそうです(農村部の余剰労働力を含む推計)。はぁーーー!!
■NHK 環境特別番組 SAVE THE FUTURE
○「年末スペシャル 第2部「ようこそ低炭素社会へ」」(2008/12/29放送)
⇒第一部は撮り損ねました。CO2削減に向けて、どのような取り組みが有効なのか。品川庄司が疑問をぶつけ、学者達が答えていきます。色々な取り組みはあるんですが、家庭で発電した電気を、電力会社が必ず買い取るとか、たとえば家建てるときにはソーラーパネルを必須にするとか、強制力あるルールを作っていかないと、なかなか実現困難だと思います。今年はさすがに衆院議員選挙があるので、環境政策を各政党がどう考えているか。必ずチェックして投票するようにしよう。
あと、テーマソング歌っているalanは、もっと売れてもいいと思うんだけどなあ。