朝日新聞に珍しくいい記事。こちら。
小泉首相が息巻いているのですが、「しかし、先の戦争の指導者も祀(まつ)っている靖国神社に時の首相が参拝することの意味は語ろうとしないままだ」。
「最近は自民党内からも「首相は『心の自由』という一方で、参拝という私事を公約にした。矛盾している」(閣僚経験者)という声が上がっている」。
その通りですね。説明が欠けている。
さらに記事内に小泉首相の発言(メールマガジン上)が載っていますが、感情的で敵対的。「マスコミや識者の意見を突き詰めていくと、中国の嫌がることはしない方が良いとなるように思えてなりません」なんていうのは小泉首相の勘違い。参拝したいならしたいで、感情的にわめくのではなく、世界に対してきちんと説明し、納得を得なければならないのです。必要なのは論理的な説明であります。
ちなみに、国家というのは多種多様な人間が寄り集まって共に”生きる”ために存在するので、国のために”死ぬ”ことをまつる神社に首相が参拝するのは私には疑問であります。
それはさておき、中国に対する感情的で敵対的な発言をしているわけですが、一国の首相の感情的で敵対的な発言は、外交関係に大きく影響し、紛争や戦争に繋がりかねません。危機感があまりにも欠けているように思われます。安全保障というと、やれ自衛隊がどうのとか、ミサイル配備をしようとかいう軍事的な話になるのですが、それ以外の外交面での関係構築こそ安全保障なのです。首相が安全保障を損ねてどうするのでしょうか。
付け加えて穿った見方をするならば、小泉首相の発言には米国の影響があると思います。先頃の米軍再編論議にも見られたとおり、米国は中国を敵対視しています(いわゆる”対中脅威論”)。米国の現在の対中観を支える、米国に協力的な小泉首相ならではの発言であると言えましょう。
しかし、このような首相が有権者の高い支持を得ているわけですし。
日本と中国とで戦争にならなければいいなあ。