ユン・チアン『ワイルド・スワン(中)』

ユン・チアン『ワイルド・スワン(中)』を読みました。
 

 
『(中)』ではいよいよ文化大革命が始まります。
暴力の嵐だった文革期において、迫害されながらも正しくあろうとした人々がいます。その姿をよくとらえていると思います。
 
ところで、現代中国を考えるにあたり、周恩来をどのように評価するかという問題があります。著者の父親が不当拘束されたときに、母親が周恩来に直訴するのですが、周恩来は著者の父親を助ける一筆をしたためます。他にも文革期に実務を支えた周恩来が描かれます。
その一方で、文革に、そして毛沢東に必ずしも批判的ではなかった周恩来の姿も描かれています。周恩来には両面あったと評価すべきであり、本書の記述には納得です。この点からも本書は良著と言えると思います。


 

3 Replies to “ユン・チアン『ワイルド・スワン(中)』”

  1. 読み物としてもすごく出来がいいし面白いですよねー。
    でも痛くて(物理的に)、読んでて、知らず知らずのうちにだんだん本が身体から遠ざかっていた(腕を伸ばして読んでた)ことが何回かありました。

  2. 今日読み終わりました。面白かった。
    無銘の英雄たちっていたんですね。

  3. 周恩来と靖国神社

      正論 の 2005年 9月号 pp.84-92 に発表された, 水間政憲 氏による「あの周恩来が靖国を参拝していた頃の神田と中国共産党の関係」という記事は勉強になった. 日清戦争後,中国から日本への留学生が増えていたことは以前から聞いていた.1905年には8千600人,1906年に2

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