ヴィルヘルム・ゲナツィーノ『そんな日の雨傘に』

 ヴィルヘルム・ゲナツィーノ『そんな日の雨傘に』を読みました。
 
 
 
 現代ドイツ文学。靴の試し履きを生業とする男が、街を歩き、人と会い、周りを見つめます。
 夏祭りの中、自宅のベランダに隠れ家作る少年を眺めるラストシーンが印象的。少年は翌日おそらく学校に行っています。少年も社会からは逃げられない。しかし、祭りの後も母親は少年の隠れ家を壊さないのです。家に帰ってくれば隠れ家が少年の逃げ場所として存在している。逃げ場所は作れるし、守られうる。そこに「逃れられない出来事のただなかにいながら逃れる」(P.189)希望が見つかりそうです。
 
 オススメ。もっと翻訳でるといいんだけどなあ。
 
 今年33冊目。


 

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