中島岳志『中村屋のボース インド独立運動と近代日本のアジア主義』を読みました。
インドから日本に亡命してきて、インドの独立運動に取り組んだ、ラース・ビハーリー・ボース(R・B・ボース)の伝記。読みやすいです。オススメ。
「終章」や「あとがき」で、著者のR・B・ボースに対する熱い思いが述べられています。
R・B・ボースの魅力を伝えるとともに、農村社会に理想を見て、近代都市社会を否定的に捉えるような思想には「ヨーロッパのオリエンタリストとの共犯関係」(p.224)があると指摘しています。
また、インドの宗主国であった英国を倒さねばらなないという観点から、日本帝国主義に警戒心を抱きながらも、日本政府を拠り所にしてインド独立運動を進めていくんですが、その中で日本に対する批判力を徐々に失っていった姿をも描き出しています。
頭山満、大川周明ら“アジア主義者”との連携も描かれています。
今まで不勉強で、頭山満、および彼が設立した玄洋社・黒龍会についてはよく知りませんでした。
本書では「心情的アジア主義者たち」として整理されています。
「日本的な忠義や礼節を重んじ、皇室に対して一定の敬意を有する人間」=「人民」による抵抗運動を行い、主権や権利を主張していこうとしました。その視野は日本のみならずアジアにまで拡大していきました。しかし、その「人民」観から零れ落ちるようなアジア人に対しては、「彼らが日本のアジア主義者たちの高潔な理想を理解しない」と、一方的に批判していくことになったのでした。
アジア人を内在的に理解していくことは出来なかったのです。
(引用は「3-2. アジア主義者との連携」p.126-131より)
本書を批判するならば「終章 近代日本のアジア主義とR・B・ボース」ですかね。記述は叙情的に過ぎ、竹内好や橋川文三との対比も、明らかに“足らない”感じ。枚数も考察も。この点不満でした。
ちなみに、表題にもなっているとおり、R・B・ボースは中村屋にかくまわれている時期があり、そこでインドカリーを作りました。その後、中村屋のメニューにもなりました。
ということで、新宿中村屋に行ってきました。お店は混んでました。
お店のインドカリーは結構お高いですね。
うーん。
ということで、レトルトのインドカリーにしました(おいおい)。
パッケージ裏面には「インド独立運動の志士ラス・ビハリ・ボースが、日本への亡命を手助けした創業者夫妻に心をこめてふるまった祖国のカリー」として紹介されています。
R・B・ボースの名はしっかりと刻まれているんだね。
で、これがインドカリー。
おいしい。
本格的です。スパイシーです。100円均一で売っているレトルトカレーとは違います。
本格的なカレー(カリー)を食べたい人にオススメです。
これまた私の本棚(厳選)行きだなあ。
今年2冊目。