伊藤計劃『ハーモニー』を読みました。
終わり方は残念です。ハーモニーは崩せなかったのでしょうか。トァンが「下山してまもなく」老人たちは決断したとありますが、トァンの「肩に世界がかかっている」とまで上司から言われる中で、トァンは行動していて、それは周知のことだったんだから、下山後にミァハを殺したことを伝えれば、社会と構成員との完全なる一致は止められたのではないか。と思った次第。ちょっと終わりが急ぎすぎではないでしょうか。
あと、「大災禍」の後とはいえ、「生府」による支配を市民は受け入れるのかというのも気になりました。
しかし、こないだの参院選のように、めちゃくちゃな憲法草案を書いていても、景気良くしてくれそうな政府であれば支持されるわけです。そう考えると「大災禍」のあとで生命・健康を最大限尊重してくれるのであれば、市民は自由やプライバシーを手放し、「生府」による統治を大いに支持してしまうのかもしれません。
今年38冊目。
※図書館で借りた本。