坂本義和『人間と国家―ある政治学徒の回想(上)(下)』を読みました。
著名な国際政治学者である坂本義和さんの回想録です。
学生の頃に『相対化の時代』をはじめとする著書を読み、ゼミで議論し、学んだものです。
回想録の中には、師匠である高畠道敏さん、ゼミの先生だった李鍾元さん、熱い授業を行ってくださった藤原帰一さんら、私にとっては懐かしい名前がたくさん出てきます。国際的にも色々な研究者たちとの交流が描かれていて、幅広い活動に改めて驚かされるとともに、色々な場面で鋭い議論を繰り広げていた坂本義和さんの業績を振り返ることができます。「理想主義者」というレッテルがいかに誤ったものであったかがわかるでしょう(藤原帰一さんもどこかで同じようなことを言っていたと思います)。
坂本さんは東大紛争で大学の側に居た人でした。その立場から、当時のことを振り返っています。内ゲバを繰り返していた学生運動に対して批判を行っています。当時の全共闘らに弁護の余地は無いのではないでしょうか。
オススメ。「私の本棚(厳選)」入り確定。
今年36,37冊目。