岩田規久男『日本経済にいま何が起きているのか』を読みました。
オススメ。これは読むべき。
木村剛『投資戦略の発想法』や中谷巌『痛快!経済学』を紹介するときに、”構造改革”がまず大事といった考え方について留保してきましたが、本書はそれらの著者とは逆に、”構造改革”の前に、金融政策でインフレ期待を醸成してデフレを脱却し、その後”構造改革”を行うべきだという考え方をしています(リフレ派と言いますね)。
私もその通りだと思いますが、日銀の福井総裁は否定的です(本日の日経朝刊1面より)。与謝野経財相も懐疑的なので、実施にはまだまだ時間がかかるかもしれません。そんな暇ないと思うのですが。
日銀の福井総裁といえば、もう一点。
消費者物価指数(CPI)が「安定的にゼロ%以上」になることを量的緩和解除の1つの判断基準にするようです(本日の日経朝刊1面より)。しかし、本書によればCPIは真の値よりも1%ほど高いと考えられるとのこと。安売りや質の向上を反映していないからだそうです(p.180-1)。そう考えるとCPIが「安定的にゼロ%以上」になったところで、実はデフレ傾向は続いている可能性があります。また、そもそも「安定的にゼロ%以上」というのがよくわからない。本書でも指摘されていますが、あいまいだと投資計画や消費計画を立てることができません。明確にインフレ上限を○%という形で定めて、そのルールに基づいて日銀の金融政策が行われるべきではないかと考えられます。
今年24冊目。