澤地久枝『密約 外務省機密漏洩事件』を読みました。
沖縄返還に際し、米国が払うべき基地処理費用の400万ドルを、日本政府がひそかに肩代わりをして支払うという密約がありました。
この密約と、その報道を巡る事件についてのノンフィクションです。
男女関係(特に女性について)、言論・報道の自由、マスコミの役割や、国会、有権者、沖縄、日米関係といったいろいろな問題が絡み合って起こった事件でありました。著者の言うとおり「戦後史をほとんど集約している」(p.267)と言っても言い過ぎではありません。
一つ残念なのは、この事件が沖縄からどのように見えていたのかがわからないというところ。沖縄のマスコミにはどのように取り上げられていたのでしょうか。事件の渦中で澤地さんも沖縄に行っているみたいなのですが、沖縄でどんなことがあったのかはあまり取り上げられていません。
それにしても、これは読むべき本。
今年112冊目。