私は日経新聞を購読しています。
それに加え、選挙後ということで、選挙分析に定評のある毎日新聞を羽田空港で購入し、選挙について考えてみようとしました。
が、それほどの分析はされていませんでした(昨日の今日だから当たり前ですね)。二紙を巡って気になった点に触れましょう。
<毎日新聞>
今回の選挙の”直接民主主義”側面を指摘しています(1面)。
郵政民営化という個別政策の是非を有権者に問う形にし、それを支持した有権者の姿をうまく表現していると思います。
しかし、繰り返しになりますが、国政選挙で単一の論点に焦点があたるというのはおかしいことです。それ以外の論点についてフリーハンドを与えることになってしまうのです。この危険性をどれだけの有権者が理解していたのでしょうか(選挙制度の問題もあるので一概に有権者を責めることはできませんが)。
毎日新聞には無党派層の票の推移も載っていました。しかし、これほどの差が開いた理由についてはいまいちわからないままです。
<日経新聞>
「白紙で委任したわけではない」(1面)とありますが、結果として全ての政策について白紙委任なのです。今後の政策について”言わなくてもわかる”でしょうと言い切った小泉さんの姿をもっと危機感を持って見るべきです。
これはまたマニフェスト選挙とも関連しています。
前回の2003年衆院選で一躍注目を浴びたマニフェストですが、これは議会主義の原理原則に反し、選挙時に有権者に約束した政策=マニフェストを、議会の反対を押し切ってでも進めるという政治手法です(議会主義の原理原則から言えば、議会における自由な議論の結果自らの意見の修正が行われうるわけで、選挙時に政策実現の約束をするというのがそもそもおかしい)。今回の選挙もそのようなマニフェスト選挙でしたから、政権与党はどうどうと野党の修正をすべてはねのけて意志を通そうとします。そして圧倒的多数を占める与党は簡単にそれが実現できてしまうのです。歯止がきかないのです。
ちなみに日経は歯止をかけるべきではないという論調でした。参院自民党は民意にしたがえと繰り返し主張していたわけですから。そんな日経がいまさら少数意見に耳を傾けろなんて主張するのはちゃんちゃらおかしいのです。日経の論説には疑問しか感じません。
最後に、両紙に共通するのは民主党への批判です。
確かに民主党はダメでした。しかし、日経は政策比較をするにつけても必ず郵政を第一の論点にしていませんでしたでしょうか。小泉の選挙を支えたのはマスコミなのではないでしょうか。民主党をスケープゴートにするのではなしに、”刺客”で盛り上がったこと等の自らの報道姿勢をこそマスコミは今、自己反省するべきなのではないでしょうか。