重田園江『社会契約論』を読みました。
サブタイトルの通り、ホッブズ、ヒューム、ルソー、ロールズについて、社会契約を軸に論じた本。
著者はフーコーの研究者であって社会契約論の専門家ではありません。テクストを前に悩みながら、読者と一緒に考えていく感じで書かれています。
大学の頃にここら辺を勉強していて、ロールズに端を発する政治思想や政治哲学の議論にもちょこっと触れました。いろいろな論者がいる中で、私にとってはロールズの正義の原理が一番しっくりときました。自分に関する情報が制約される「無知のヴェール」を被った状態で、他者と共存するルールを考える。そうすると「人は全員のために選択せざるをえない」(p.236より正義論の再引用)ので公正なルールが生まれるはずです。自由が保障される公正なルールのもとで、差異を訴え合いつつ、他者同士が共存していけばいいんじゃないかなあと思います。
おすすめ本。
あと、文献案内にあった桑瀬章二郎 編『ルソーを学ぶ人のために』は、我が家に積読として存在していたので、紹介されていた、吉岡知哉「制時制度と政治ー『社会経絡論をめぐって』ー」も合わせて読みました。相変わらず極めてロジカルで、優れて平易な文章を使って、わかりにくいルソーの社会契約論に対する一つの解釈を示しています。こちらもオススメです。久しぶりに吉岡知哉『ジャン=ジャック・ルソー論』を読み直そうかなあ。すごーく高い本だったけど、バイト代はたいて大学時代に買って、あまりの面白さに興奮して読んだっけなあ。懐かしい。
今年31冊目。