今野晴貴『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』

 今野晴貴『日本の「労働」はなぜ違法がまかり通るのか?』を読みました。
 
 
 
 以下要約です。
 
 日本では解雇規制が機能しておらず、先進国でも例を見ないほどに「解雇しやすい国」(P.88)であるという事実は忘れてはなりますまい(退職勧奨されれば辞めざるをえないのが現実です)。本書では、会社と争うために、改めて労働組合の位置づけを確認しつつも、機能していない現状を取り上げられています。また、日本型雇用が成立していた背景と、その崩壊を描き出します。そんな中で生まれたブラック企業。
 
 思い出されないといけないのは「純粋な市場社会と、それを承認する法律に対し、現実の社会や人間を守るために、人々は常に『違法』を作り出してきた」(P.238)という歴史です。「違法行為を正すと同時に、新しい違法をつくり出し、新しい制度の構築をしないと、日本経済自体が死滅してしまう」(P.240)ことになります。「新しい違法」を作り出すために、人々とつながり、政治に参加し、変えていくことが展望されます。
 
 今年77冊目。


 

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