沖縄返還時に日米で返還後の沖縄に米軍の核の再持ち込みなどを認める「密約」が結ばれていた、というのは若泉敬『他策ナカリシヲ信ゼムト欲ス』でも明らかになっていましたが、米公文書が見つかったようです。
沖縄返還時、「核密約」示す米公文書 外務省は存在否定
http://www.asahi.com/politics/update/1007/TKY200710070118.html
外務省は密約無いとしていますが、改めて調べ、事実を明らかにするべきでしょう。いまさら隠しても無駄だしね。
『容疑者 室井慎次』の沖縄
『容疑者 室井慎次』観ましたー。
面白かった。田中麗奈は良いね。
が、沖縄の描かれ方が気になります。
沖縄の人=従順な人というステレオタイプですな。なんなんだこれは。
澤地久枝『密約 外務省機密漏洩事件』
澤地久枝『密約 外務省機密漏洩事件』を読みました。
沖縄返還に際し、米国が払うべき基地処理費用の400万ドルを、日本政府がひそかに肩代わりをして支払うという密約がありました。
この密約と、その報道を巡る事件についてのノンフィクションです。
男女関係(特に女性について)、言論・報道の自由、マスコミの役割や、国会、有権者、沖縄、日米関係といったいろいろな問題が絡み合って起こった事件でありました。著者の言うとおり「戦後史をほとんど集約している」(p.267)と言っても言い過ぎではありません。
一つ残念なのは、この事件が沖縄からどのように見えていたのかがわからないというところ。沖縄のマスコミにはどのように取り上げられていたのでしょうか。事件の渦中で澤地さんも沖縄に行っているみたいなのですが、沖縄でどんなことがあったのかはあまり取り上げられていません。
それにしても、これは読むべき本。
今年112冊目。
明田川融「沖縄と「平和」憲法についての断章」
明田川融「沖縄と「平和」憲法についての断章」を読みました。
『年報 日本現代史 第11号 歴史としての日本国憲法』(2006)現代史料出版所収の論文です。
「日本国憲法の「日本」に沖縄は入っているか。」
という挑発的な一文から始まり、
・マッカーサーの「沖縄要塞化構想」があった上で憲法の平和主義規定が創設されたこと
・日本を反共の防波堤とするため、沖縄を基地として米国に自発的に提供したこと(「天皇メッセージ」)
・吉田麾下の外務省及び有識者らの非武装構想において、沖縄が構想から外されていたこと
・政治指導者らは、沖縄に関する日本の主権・施政権を主張しながらも、基地権を分離し、沖縄において米国の軍事的必要を満たしてきたということ
と、主に対日占領期における沖縄の状況が明らかにされています。
沖縄を考える際に非常に参考になる論文ですので、拙いながらもここで紹介させていただきました。