今後、消費税増税が論点となります。
高齢化に伴い、社会保障費が増大する。
・・・なるほどなるほど、その通りでしょうな。納得です。
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社会保険料では賄いきれないし、財政の弾力性を維持するためにも、つまりは後の世代が借金返済にひーひー言わないためにも、国債に頼らず、税収増で社会保障費の増大に対応する必要がある。
・・・なるほどなるほど、その通りでしょうな。これまた納得です。税金増えるのOKですよ。Welcome!!
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その財源は消費税であり、消費税の増税が必要である。消費税はホニャララ%にする必要がある。
・・・ちょっと待ったー!!
と、ここでひっかかるのです。
なぜならば、消費税の性質に逆進性があるからなのです。低所得に人からたくさんの税金を取りうる仕組みなのです。
橘木俊詔『格差社会 何が問題なのか』がわかりやすく説明しています(p.190)。貯蓄と消費の比率を考えればよくて、高所得者はかなりの金額を貯蓄に回せますが、低所得者は貯蓄に回す余裕が無いので、所得のかなりの部分を消費に回さざるを得ないでしょう。低所得者のほうが、税金払う割合が増えてしまうのです。
税はおしなべて累進性を持たせるべきなのです。持てるものの責任でありましょう。
所得税の増税が考慮されるべきです。私なんか、所得税増えるのWelcomeですけどねえ。それでやる気を失うなんてことはないですな。福祉に使われるのであれば、税金払う人冥利に尽きるというものです。
所得税は節税できてしまうので、消費税で確実に税金を取るべきという議論も有り得ます。それには一理ある。しかし、消費税の逆進性を止める施策が必要です。これまた橘木俊詔 前掲書に提案されていますが、「食料品や教育、医療など生活に欠かせない分野への支出は非課税にし、それ以外の一般財だけに税金を掛けます。しかも贅沢な商品には一五%よりも高い税率を掛けます。」といった具合です(p.200。ちなみに15%は橘木氏が妥当だとする消費税率)。
おそらく今後は消費税増税議論が活発になってくるのでしょうが、評価のポイントは消費税の逆進性に配慮しているかどうか。ここのところをきちんと考えていない消費税増税論には全てNOを突き付けるべきです。