西山太吉『沖縄密約 「情報犯罪」と日米同盟』を読みました。
かの西山氏が記した本。
西山氏が原告となって裁判起こしてましたが、最近棄却され、ニュースになりましたね。
そもそもなんで佐藤栄作が沖縄返還に取り組んだのか。福田はなんで協力したのか。権力欲から説き起こしています。元新聞記者らしい筆致であります。外交面において、日本がどれだけ米国にやり込められてきたのか、未だにやりこめられ続けているのか、米国のロジックともどもよくわかります。
日本政府はまだ認めていませんが、沖縄返還では秘密外交が行われ、密約があったというのは周知の事実であります。外交における歯止めを考えるべきだと思います。本書で明らかなとおり、極秘裏に行われる交渉というのにろくなものはありません。暴走を防ぐ仕組みが必要です。議事録など、交渉期間中は非公開でも、将来○○年後に必ず公開され、歴史の審判を受けるということをルール化し、外交交渉者への足枷としておくべきです。米国は一定期間経てば情報公開している。日本は圧倒的に遅れています。
あと、本書ではp.37に触れられており、私自身もかつて米国の沖縄関連外交文書を読んで知りましたが、意外に住民運動は効果的です。外交担当者にインパクトを与えます。基地は現地住民との協力関係なしには成り立たないからでしょうか。このことは覚えておくべきでしょうね。
今年63冊目。
(2008/10/5追記)
東京新聞2008/10/4付け朝刊26面にて、1971年の沖縄返還協定に伴う財政負担を巡る日米の密約文書について、外務省が「該当する文書は保有していない」として非開示を決定したという報道がありました。米国立公文書館では見つかっているので、明らかにウソをついています。首相(麻生太郎)、外務大臣(中曽根弘文氏)の責任含めて追求すべきです。