藤田省三『全体主義の時代経験』

藤田省三『全体主義の時代経験』を読みました。
 

 
時代が時代なので、新年一発目は藤田省三から。
久しぶりの再読であります。
 
著者自ら述べているごとく、病床で書かれたエッセイ集です。そのためか、論述にわかりにくさがつきまといます。特に「全体主義」の定義が明確ではないと思います。例えば、有名な“「安楽」への全体主義”という言葉があります。「安楽」を求めるために不快の源を根こそぎ取り払ってしまうことを指して言っています。しかし、全体主義のポイントは、国家が経済・社会・文化の諸領域に介入して自由を奪うことにあると思います。藤田のように全体主義概念を広げすぎてしまうのには疑問が残ります。
 
とはいえ、本の各所に卓見がありますので、アフォリズム(箴言)集として読むにはいいのかもしれません。
 
今年1冊目。


 

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