島尾敏雄『死の棘』

島尾敏雄『死の棘』を読みました。
 
死の棘35刷改版
 
まったくもってついて行けませんでした。
山本健吉さんの解説が付いているのですが、これまたまったくもって意味不明。「「永遠に女性的なるもの」の本態」(P.514)って、なんですかそれは。
 
これまでのところ、今年読んだ本の中で下から二番目の本に決定。
一番は別の本。今度酷評します。

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ヴォルテール『カンディード』

ヴォルテール『カンディード』を読みました。
 
カンディード
 
短編集です。
表題になっている「カンディード」では”最善説”(人が死のうがなんだろうがすべては最善な状態にあるんだとする考え方)が批判的に取り上げられます。
論文ではなく、物語なので、ヴォルテールが当時のどのような考え方にどのように意見しているのかがわかりにくいのですが、訳者植田祐次さんの脚注が充実しているので助かります。

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岡嶋二人『99%の誘拐』

岡嶋二人『99%の誘拐』を読みました。
 
99%の誘拐
 
新千歳空港で購入し、飛行機待ち時間+帰宅までの時間で読み終えました。
傑作傑作。
 
ただ、どうしても時代の制約は免れません。コンピュータを使った犯罪なのですが、描写が古く感じますね。パソコン通信の話が出てきます。私はかつてパソコン通信を少しだけやったことがあるので”シスオペ”と書いてあるとピンと来ますが、最近の若者はどうなんでしょうね。
かつて萩尾望都の漫画で、人間がすべて”パンチカード”で管理されている未来の話があったことを思い出します。”パンチカード”はさすがに私も見たことはありません。

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二階堂黎人『魔術王事件』

二階堂黎人『魔術王事件』を読みました。
 

 
“魔術王”と探偵の二階堂蘭子との対決が見もの・・・のように思えますが、蘭子探偵は最後に出てきてさくっと解決してしまうので、推理対決を楽しもうという向きにはオススメしません。
 
読んでいて、犯罪者とトリックのうちのいくつかはわかりました。推理小説慣れしてきたということでしょうか。
 
なお、面白いことは面白いのですが、グロテスクです。嫌いな人は避けた方がいいでしょう。

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