森まゆみ(編)『伊藤野枝集』

森まゆみ(編)『伊藤野枝集』を読みました。

伊藤野枝の創作、評論、随筆、書簡から成ります。
荒削りでみずみずしい文章。これから・・・というときに虐殺されてしまいました。

一番興味深かったのは「無政府の事実」です。無政府共産主義の理想について、「しかし私は、それが決して「夢」ではなく、私共の祖先から今日まで持ち伝えてきている村々の、小さな「自治」の中に、その実況を見る事が出来ると信じていい事実を見出した」(P.278)とし、村にあった「組合」による「自治」を説明していきます。1921年、1922年で「自治」を言っていたとはちょっとびっくり。他では村にあるコンベンション(因習)を否定しつつ、組合による自治の姿を村から抽出するという、そういう多角的な視点をも持った人でした。

他にも、子育てしながら雑誌の編集をしているようなところは極めて現代的ではないでしょうか。現代の女性が読んでも親近感持って読めると思います。

おすすめ。

今年1冊目。

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