ステファン・エセル『怒れ!憤れ!』

 ステファン・エセル『怒れ!憤れ!』を読みました。
 
 
 
 小さな本ではありますが、強制収容所の絞首刑をギリギリで免れ、戦後に世界人権宣言の起草に携わった人の発言は重い。
 表紙がインタビュー記事になっています。
 
 「私に染み付いた歴史観・政治観からすると、保守や右派の勝利はつねに悪いことである。悪と戦うためには、一部のグループが理想主義や共産主義や全体主義に走ったときに、左派が分散したり分裂したりするのが最も危ない。」
 
 私の怒りの対象の一つは、保守派にしよう。
 
 今年2冊目。

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マーティン・ハーウィット『拒絶された原爆展―歴史のなかの「エノラ・ゲイ」』

 マーティン・ハーウィット『拒絶された原爆展―歴史のなかの「エノラ・ゲイ」』を読みました。
 
 
 
 中止となった「最終幕」展(原爆展)の経緯を、当時のスミソニアン博物館館長が記録した大著です。
 中止に追い込んでいった空軍協会らが主張する中で出てくるのは「誇り」という言葉です。彼らは、「誇り」を損なうような展示は認められないとします。
 
 私は「誇り」というのが正直よくわからない。「誇り」って何なのでしょうか?
 「誇り」のせいで、今の時点から過去を振り返ることすら、拒絶されてしまったように見えました。本書のあちこちで指摘されているように(例えばp.125-6)、原爆投下については当時も議論がありました。いま批判的に振り返ることは、決して現在から過去を一方的に断罪しているわけではありません。しかし、過去はそもそも現在から振り返られることでこそ存在するものです。過去は現在から再審されてこそ、次代につなげていくことができるもののはずです。仮に、戦争終結を早めるために原爆を投下したのだとしても、原爆投下前に宣言することで、日本に敗北を認めさせるべきだったとかの、ヨリ被害の少ない他の選択肢もあったはずで、そういうのを批判的に振り返って、見つけ出さないと次につながらないと思うのです。過去を生きた人は、現在から批判されることを許容するような、開かれた姿勢こそ求められるのではないでしょうか。
 
 それにしても、歴史認識というものの難しさ、微妙さに改めて気付かされます。
 日本人を救ったというような「正しい戦争」観、真珠湾の攻撃を受けたという「被害」観は認識できても、原爆で多数の人を殺し、未だに苦しめ続けているというような「加害」観は認識するのが困難であるようです。これは米国に限った話ではなく日本もそうでしょう。議論、言論や博物館展示では伝わらないし、共有できないのであれば、アート(音楽、絵画、インスタレーション等)で訴えかけるしかないのかもしれません。
 
 私は次のようなインスタレーションを考えます。
 真ん中に原爆のキノコ雲がもくもくとあって、その上の空をエノラ・ゲイが飛んでいる。旋回して基地に帰るところ。キノコ雲の下の地面では原爆の被害に苦しむ人がいる。他の地面では日本軍による侵略が描かれている。それらの展示物は、透明なプラスチックの壁で丸く囲まれ、壁には日本語や英語、中国語や朝鮮語、ロシア語、色々な言語によって、それぞれの「正しい戦争」観と「被害」観が書かれている・・・。
 ・・・うーん、ダメかな。
 
 あと、スミソニアンは全体的な展示を目指していました。そうではなくて、例えば原爆被害に特化するとかの個別具体的な展示をすることで、観る人達の心を動かしていくしか無いのかもしれません。
 
 最後に気になったのはアカデミズム。
 本書に歴史学者は出てくるが、他の業界の学者は出てこない。特に政治学者、政治思想家たちはこの議論にどのように参加していたのでしょうか。
 
 今年1冊目。

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12/29のツイートまとめ

rutoruz

Amazon。ある本が古本だと送料込みで350円。Kindle版は670円。であれば古本買うでしょう。古本が安く手に入る状況で、単純に電子書籍化してもビジネス広がらないと思うんだけどなあ。というのを電子書籍に携わる人に言ったのだが、うまく理解してもらえなかった。 #fb
12-29 22:21

去年は父親がガンで手術。今年は母親がガンで手術。・・・人間ドックは毎年欠かさないようにしよう・・・。
12-29 22:07

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金井壽宏『働くひとのためのキャリア・デザイン』

 金井壽宏『働くひとのためのキャリア・デザイン』を読みました。
 
 
 
 ところどころに読者に対する問いかけがあり、考えさせる作りとなっています。
 あたかも著者による研修を受けているようです。
 
 節目でキャリアデザインし、流されること(ドリフト)もよしとする著者の考えに賛同します。
 私も今年節目だったはず。うーん、十分キャリアデザインしてなかったなあ。年末年始に考えてみよう。
 
 今年101冊目。

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