ヴォルフガング・シュトレーク『時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか』

ヴォルフガング・シュトレーク『時間かせぎの資本主義――いつまで危機を先送りできるか』を読みました。

難しいですが、翻訳者の鈴木直の解説が非常にわかりやすい。解説から読むと良いと思います。

はじめのところでアドルノとの共通点を上げていて、「たとえば、危機は最終的にはうまく収まるはずだといった信仰を、著者は直感的に拒否している。この点はアドルノも同じだったと思う」(P.8)と言っています。

いままで「時間稼ぎ」によって、危機が先延ばしされていて、危機が顕在化するというのを想像できなくなっているのが現在なのかもしれません。要はみんなで「なんとかなる」と思っている。環境問題もそうですよね。今までは地球が人間の営みを包含してくれていてどうにかなっていたわけです。でももうなんとかなるレベルを超えている。「なんとかなる」ではなく、「なんとかならない。だから、なんとかしなければならない」というように、そもそも思考を変えていかないと何も変わらないのだろうなあと思いました。

今年11冊目。
※図書館で借りた本。

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