ウェルズ『タイムマシン』

ウェルズ『タイムマシン』を読みました。
 

 
SFの古典。描かれる未来の人類は知性は退化し、肉体も衰弱している。タイムトラベラーに対して示された友愛の念を、人類は今後も持つことができるのかどうか。その問いにあまり肯定的には答えることができません。
 
今年16冊目。
※Kindle Unlimited

トゥルゲーネフ『初恋』

トゥルゲーネフ『初恋』を読みました。
 

 
かなり久々の再読ですが、新訳で読みやすかったです。
ジナイーダという小悪魔的な女性が非常に魅力的です。男性たちを振り回す感じとか。
他方で、彼女が恋に落ちた理由はわからず、恋のやり取りも部分的に描写されるのみ。読者は主人公と一緒に悶々と過ごすことになります。でもこの距離感が初恋なのかもと思ったりもして。
 
今年15冊目。
※Kindle Unlimited

綿矢りさ『私をくいとめて』

綿矢りさ『私をくいとめて』を読みました。
 

 
孤独を肯定しつつ、人とのつながりの良さが見えてくる小説でした。
「根本的に必要じゃなくても、生活にあるとうれしい存在はたくさんあるんです。というか、私たちはそういうものばかりに取り囲まれて生きていますよ。根本的に、なんて思いつめなくていい。」(p.211-212)
というAの言葉には救われました。
 
今年12冊目。
※図書館で借りた本。

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福間健二『佐藤泰志 そこに彼はいた』

福間健二『佐藤泰志 そこに彼はいた』を読みました。
 

 
佐藤泰志に近いところにいた詩人による評伝。
印象批評的な記述が目立ち、疑問を感じるところもあるのですが、公刊されていない詩や小説も取り上げられていて、非常に参考になると思います。同世代の作家たちとの比較も所々にあって興味深いのですが、どうしても印象批評になっているような気がします。そういう意味ではいまいちでした。
 
今年9冊目。

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曲亭馬琴 石川博編『南総里見八犬伝』

曲亭馬琴 石川博編『南総里見八犬伝』を読みました。
 

 
抄録ではありますが、南総里見八犬伝の世界を楽しむことのできる本。
現代語訳と原文と、解説がついています。解説が面白いです。
千葉県民はやっぱり読まないとなあ。いずれ全部読んでみたいですね。
 
今年1冊目。
※図書館で借りた本。

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島本理生『リトル・バイ・リトル』

島本理生『リトル・バイ・リトル』を読みました。
 

 
出会いと別れ。主人公がけっこう微妙に距離を取って家族や周りの人々と接しているようでいて、出会いと別れを経験して、少しずつ距離を縮めていきながら、成長していく感じ。
島本理生の他の小説も読んでみよう。
 
今年78冊目。
※図書館で借りた本。

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佐藤泰志『移動動物園』『大きなハードルと小さなハードル』『きみの鳥はうたえる』

佐藤泰志『移動動物園』『大きなハードルと小さなハードル』『きみの鳥はうたえる』を読みました。
3冊まとめてエントリしてしまいます。
 

 

 

 
函館に行って文学館で佐藤泰志と出会ってからというもの、彼の小説にはぐいぐいと惹き込まれまして、これで出版されているものはすべて読破となります。
何にここまで惹かれたのか。うまく説明できませんが、経済的にも生活が厳しい中で、労働し、人々と交わり合い、生きていく。その姿がアクチュアルに描かれているのが魅力的なんだと思います。自分の拠り所になる小説だという感じがします。
 
今年は映画「オーバー・フェンス」も公開されました。オダギリジョーと蒼井優の演技に引き込まれました。非常によかった。Blurayを買うしか無いな。
 
今年73,74,75冊目。

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