澤地久枝『火はわが胸中にあり 忘れられた近衛兵士の叛乱 竹橋事件』を読みました。
明治時代の兵士の叛乱事件である、竹橋事件を取り扱った本。
情報は抹殺されている部分もあり、時間が経っているので遺族への聞き取りもままならずに書かれていて、著者の苦労がしのばれます。
文中に何箇所が出てきますが、当時は未だ完全な形での“皇軍”ではありません。
この事件をひとつの契機にして、“皇軍”化されていくのです。
今年71冊目。
たばこと塩の博物館編『四大嗜好品にみる嗜みの文化史』
たばこと塩の博物館編『四大嗜好品にみる嗜みの文化史』を読みました。
先日見に行った展示のカタログです。
四大嗜好品=茶、酒、コーヒー、たばこの文化史が豊富な写真とともに説明されています。
入門書としては最適でしょう。
英国のコーヒーハウスに男性が入り浸り、それに業を煮やした女性達が喫茶の習慣を積極的に取り入れていって、コーヒーハウス廃れていって英国では紅茶文化が花開く。そんな歴史や、各国のキオスク比較も面白い。
オススメ。
ISBN振ってあるけど、たばこと塩の博物館でしか売ってないと思います。
1,000円。買うべし。
「液晶絵画」展のカタログカウントすると、今年67冊目かな。
四大嗜好品にみる嗜みの文化史@たばこと塩の博物館
たばこと塩の博物館で開催されている「四大嗜好品にみる嗜みの文化史」に行ってきました。
Bunkamuraに行くために渋谷に出かけたのですが、途中ですっかり迷ってしまいました(アホ)。
途中に「たばこと塩の博物館」を見つけ、なかなか面白そうだなあと思って入ってみた次第。
入館料は100円です。これで常設展も見れます。安い!!
四大嗜好品=茶、酒、コーヒー、たばこの文化史を説明する展示が行われています。
4階の1フロアなので、そんなに大きい展示ではないのですが、解説豊富で楽しめます。
抹茶は茶葉を揉まずに乾燥させて石臼で挽いて粉にしたものなんですね。知らなかったな。
カタログも販売されており、ゲットしました。今度ちゃんと読もう。
10月半ばまでです。
3階~2階は塩とたばことに関する展示。
3階は塩のフロア。
塩がどのようにしてつくられるのか、展示とビデオで解説されています。塩分の濃い海水であるかん水作って、煮沸して塩を取るというのが基本。
人手で砂を運んだりしていた入浜式塩田(江戸時代はじめ~)⇒流下盤や枝条架でかん水作成を自動化した流下式塩田(昭和20年代後半~)⇒塩田を使わないため天候に左右されにくいイオン交換膜法(昭和47年~)への変遷がよくわかります。
2階はたばこ。
昔懐かしいたばこ屋さんを復活させています。自販機も懐かしかったですな。
1階は世界各地のKIOSKを特集していました。各国の違いがわかって、これまたよかった。
オススメスポットでございます。ぜひ。
アントニー・ビーヴァー『ベルリン陥落1945』
A・V・フォイエルバッハ『カスパー・ハウザー』
マハトマ・ガンディー『真の独立への道』
荻野富士夫『思想検事』
F.L.アレン『オンリー・イエスタデイ』
ユン・チアン『ワイルド・スワン(下)』
ユン・チアン『ワイルド・スワン(下)』を読みました。
ちなみに、(中)で述べた周恩来についてはP.259-60に著者の評価が論じられています。
本著全体では、抗日戦争~国共内戦~文革までが取り上げられています。
ちなみに、(中)~(下)までは文革が中心です。文革後、著者は英国に行くので、その後の中国が取り上げられていません。パール・バック『大地』が国民党政権で終わっていたので、消化不足を感じたことがありますが、本著も文革で終わっているので、その後の中国について消化不足を感じざるを得ませんでした。第二次天安門事件については「エピローグ」でふれられているのですが、不十分でしょう。
とはいえ、それも無い物ねだりでありまして、抗日戦争~国共内戦~文革を取り上げたルポルタージュとしては素晴らしいと思います。ご一読をオススメします。
ユン・チアン『ワイルド・スワン(中)』
ユン・チアン『ワイルド・スワン(中)』を読みました。
『(中)』ではいよいよ文化大革命が始まります。
暴力の嵐だった文革期において、迫害されながらも正しくあろうとした人々がいます。その姿をよくとらえていると思います。
ところで、現代中国を考えるにあたり、周恩来をどのように評価するかという問題があります。著者の父親が不当拘束されたときに、母親が周恩来に直訴するのですが、周恩来は著者の父親を助ける一筆をしたためます。他にも文革期に実務を支えた周恩来が描かれます。
その一方で、文革に、そして毛沢東に必ずしも批判的ではなかった周恩来の姿も描かれています。周恩来には両面あったと評価すべきであり、本書の記述には納得です。この点からも本書は良著と言えると思います。