藤田省三『全体主義の時代経験』を読みました。
時代が時代なので、新年一発目は藤田省三から。
久しぶりの再読であります。
著者自ら述べているごとく、病床で書かれたエッセイ集です。そのためか、論述にわかりにくさがつきまといます。特に「全体主義」の定義が明確ではないと思います。例えば、有名な“「安楽」への全体主義”という言葉があります。「安楽」を求めるために不快の源を根こそぎ取り払ってしまうことを指して言っています。しかし、全体主義のポイントは、国家が経済・社会・文化の諸領域に介入して自由を奪うことにあると思います。藤田のように全体主義概念を広げすぎてしまうのには疑問が残ります。
とはいえ、本の各所に卓見がありますので、アフォリズム(箴言)集として読むにはいいのかもしれません。
今年1冊目。
佐高信『面々授受 久野収先生と私』
苅部直『丸山眞男-リベラリストの肖像』
合田正人『サルトル『むかつき』ニートという冒険』
合田正人『サルトル『むかつき』ニートという冒険』を読みました。
久々の悪書です。この本は読まない方がいいです。
帯によると「高校生が読んでわかりやすい」というのを売りにしたシリーズのようです。しかし、非常にわかりにくい。これを悪文と言わずしてなんといいましょうか。
文章が講義口調になっています。この本の通りに本当に講義したら、高校生という、筆者にとってのそれこそ他者はどのような反応をするでしょうか。
あと、著者は自分のことを”先生”(本文中の表記だと「センセー」)と呼んでいます。「センセーはそんなサルトルが好きだ」(p.53)・・・自分のことをよくもまあ先生などと言えるものです。あきれてしまいます。小学生相手だったらわからないでもないが。
今年一番の悪書でした。お金返してほしい。
今年113冊目。
魚津郁夫『プラグマティズムの思想』
梅木達郎『サルトル 失われた直接性をもとめて』
森達也『悪役レスラーは笑う』
レッシング『賢人ナータン』
やったー!
名著の誉れ高い、レッシング『賢人ナータン』が復刊されます。
2006年2月23日頃復刊らしい。
岩波文庫すてき。
絶対買うことにしよう。