マルクス・ガブリエル , マイケル・ハート他『未来への大分岐』を読みました。
マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソンと齋藤幸平との対談集です。対談集は読みにくいイメージがありますが、本書は非常に読みやすいです。それぞれの方々の著作を知らない私も特に引っかかるところなく読み進めることができました。内容は非常に読みがいがあります。
マルクス・ガブリエルの倫理の考え方が特に印象的でした。前に日本でサンデルが流行ったときに私は違和感があったのです。議論は重要ですが、議論しあっておしまいみたいな形では何も生まれないからです。かたや、マルクス・ガブリエルは言います。「私達は倫理のための普遍的原則を手にしています」(p.211)と。それはロールズの無知のベールに近い考え方で、「少しの間自分自身であることは忘れ、自分を抽象化して、他人の視点から見てください。その選択に賛成できますか?他人の視点から考えて、賛成する理由を見つけられないなら、それは倫理的ではありません。」(p.211)というものです。このように考えていけば、普遍的な倫理はあると私も思います。
あと、数カ所でハラリの『ホモ・デウス』が取り上げられていました。否定的な文脈だったのですが、ハラリは『ホモ・デウス』の最後を疑問形で終わらせているので、『ホモ・デウス』になる!とか目指せ!とは言っていないと思います。そこのところは違和感がありました。
今のままで世界はやばいよなあ、と思っている人には大いなるヒントになると思います。オススメ。
今年30冊目。