ドミニク・チェン『未来をつくる言葉: わかりあえなさをつなぐために』を読みました。
自身のこれまでを振り返りながら、思索を広げていくという、なんといいますか、哲学・思考というのはこういうものなんだろうなあと感じる本。最近アートなお店でよく見かけたので、手にとった次第なのですが、ものすごく良かった。著者と一緒に思考する中で、今のこの分断の世界を変えるヒントが得られた気がします。
オススメ。
今年78冊目。
※図書館で借りた本。
日常を楽しんで。他者に寛容でいて。
ドミニク・チェン『未来をつくる言葉: わかりあえなさをつなぐために』を読みました。
自身のこれまでを振り返りながら、思索を広げていくという、なんといいますか、哲学・思考というのはこういうものなんだろうなあと感じる本。最近アートなお店でよく見かけたので、手にとった次第なのですが、ものすごく良かった。著者と一緒に思考する中で、今のこの分断の世界を変えるヒントが得られた気がします。
オススメ。
今年78冊目。
※図書館で借りた本。
白井聡『武器としての「資本論」』を読みました。
「階級闘争」が上から行われてきた、という指摘が興味深い。確かに新自由主義的な雰囲気が蔓延して、それを”おかしい”と思う気持ちも薄れてきてしまっている気がします。なんで、なんとか社長があんなにたんまりとお金を持っているのだろう、その会社の給与体系はどうなっているんだろう、おかしくないか、と思うのではなく、なんとか社長への憧れがあり、むしろすごいと、なんかそんな感じになっている気がします。
あと印象的だったのは、「寅さん」がわからないという人がいるらしい。あえてあのポジションにとどまる、そこに悔しさもあればプライドもある、みたいな感じ。そういうのがもう理解されなくなってきているのです。
他にも多数考えさせられるところがあって、何回も読み直さないといけない本だなあと思いました。
今年63冊目。
※図書館で借りた本。
マルクス・ガブリエル , マイケル・ハート他『未来への大分岐』を読みました。
マルクス・ガブリエル、マイケル・ハート、ポール・メイソンと齋藤幸平との対談集です。対談集は読みにくいイメージがありますが、本書は非常に読みやすいです。それぞれの方々の著作を知らない私も特に引っかかるところなく読み進めることができました。内容は非常に読みがいがあります。
マルクス・ガブリエルの倫理の考え方が特に印象的でした。前に日本でサンデルが流行ったときに私は違和感があったのです。議論は重要ですが、議論しあっておしまいみたいな形では何も生まれないからです。かたや、マルクス・ガブリエルは言います。「私達は倫理のための普遍的原則を手にしています」(p.211)と。それはロールズの無知のベールに近い考え方で、「少しの間自分自身であることは忘れ、自分を抽象化して、他人の視点から見てください。その選択に賛成できますか?他人の視点から考えて、賛成する理由を見つけられないなら、それは倫理的ではありません。」(p.211)というものです。このように考えていけば、普遍的な倫理はあると私も思います。
あと、数カ所でハラリの『ホモ・デウス』が取り上げられていました。否定的な文脈だったのですが、ハラリは『ホモ・デウス』の最後を疑問形で終わらせているので、『ホモ・デウス』になる!とか目指せ!とは言っていないと思います。そこのところは違和感がありました。
今のままで世界はやばいよなあ、と思っている人には大いなるヒントになると思います。オススメ。
今年30冊目。
ユヴァル・ノア・ハラリ『21 Lessons 21世紀の人類のための21の思考』を読みました。
「現在」を考える21講です。考えながら読み進めるためかなり読み通すのに時間がかかります。GW中に集中して読むことにしてよかった。
「14 世俗主義」に書かれている世俗主義の世界の価値観が私には合いました。私なりに整理すると以下のとおりです。
・真実を重視する(非科学的な信条/信念は退ける)
・思いやりが倫理の基盤で、苦しみが少なくなるような中道を探し求める
・平等を大事にする(先にありきの階層制には疑いの目を向ける)
・自由を大事にする(疑いを持って異なる道を試してみる)
・誤りや無知を認めて未知の世界に踏み込む勇気を持つ
・責任を持って自分たちにできることをなす(近代以降の社会の罪と失敗の責任を取る)
これらの価値観を忘れずに持っておいて、いろいろなことを考えたいと思います。
今年26冊目。
大野和基(編)『未来を読む AIと格差は世界を滅ぼすか』を読みました。
昨今の著名な論者の方々へのインタビュー集です。
知らない方がほとんどで、この方々の著書を読まないとなあと思った次第。
今年20冊目。
史跡足利学校『論語抄』を読みました。
史跡足利学校で100円!で販売されている論語の抄録本です。
須永美知夫編で、松本純美代揮毫です。須永さんの通釈がわかりやすく、理解が進みました。今まで論語は積極的には学んできませんでしたが、名言集として自身を振り返るに結構良かったです。
一言で、生涯を通じて行動する際に心がけるべきことは「恕(思いやり)」であり、「己の欲せざる所、人に施すこと勿れ」とのことでした。覚えておくべし。
今年25冊目。
菅野昭正(編)『九鬼周造随筆集』を読みました。
前に鷲田清一さんの九鬼周造講義を受けたことがあって、それ以来興味を持っているのです。久々の再読。一部にナショナリスティックなのがありますが、「祇園の枝垂桜」はやっぱりいい文章ですねえ。ベルグソンらとの交流についても興味深い。「偶然と運命」は九鬼哲学への入門になりましょうか。
いまは岩波文庫でだいぶ出版されているんですね。『人間と実存』から読んでみるか。
今年24冊目。
※図書館で借りた本。
岡本裕一朗『いま世界の哲学者が考えていること』を読みました。
いま哲学で何が論じられているのか、平易に説く本。
私が知らない哲学者がたくさんいて、大いに参考になりました。読者に考えを促すような書き方も非常に良いです。考え考え読み進めることができます。
前々から私がいなくなっても世界は残るような実感があって、それをうまく説明してくれそうなのは新実在論である気がしました。参考文献も充実しているので、読み進めていきたいと思います。
今年23冊目。
※図書館で借りた本。
ザック・エブラヒム+ジェフ・ジャイルズ『テロリストの息子』を読みました。
タイトルの通り、”テロリスト”の息子が自らの半生を振り返った本です。
父親がテロを起こし、子供の頃からずっといじめられ、継父からの虐待も受け、それでも憎しみを捨てて生きることを選択した半生です。読み終わったのが電車内で、泣きそうになってしまいました。
印象に残った部分を引用。「ライノ・ラリー」というのはアルバイトしているアトラクションのことです。アフメドは継父の名前です。
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この頃だ。ある夜、<ライノ・ラリー>の衣装で帰宅し、父とアフメドの主張に反して、僕は世界を信用しようと思う、と母に告げたのは。母が人について醜い言葉を発することは一度もなかったけれど、長年にわたって僕以上に誤った信条にさらされてきた。母の口からそのあと、僕の残りの人生の基盤となるフレーズが出てきた。「人を憎むのはもううんざり」
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(P.159)
オススメです。
今年44冊目。
※図書館で借りた本。
ショーペンハウアー『読書について』を読みました。
読書の種類はいくつかあっていいと思うのです。エンタメとしての読書とか、情報を得るための読書とか。ただ、テクストと格闘するという意味での精読の機会が減っているなあと本書を読んで改めて気づいた次第。自分で考えるということを拒否っている自分がいるのかもしれません。かなり反省。
ショーペンハウアーについても、今後読むことにしよう。
今年4冊目。
※Kindle Unlimited